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機械式時計において永久カレンダーとは大の月、小の月を自動的に修正して表示することの可能なカレンダー表示機構である。時刻の他に日付、曜日、月等の暦を知ることが出来る。永久カレンダーを知るためにまず、暦の歴史を学んでいくこととしよう。
今日、世界中のほとんどの地域で用いられている暦はグレゴリオ暦である。それ以前までは紀元前にユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)がエジプトの数学者ソシゲネスの助言により制定したユリウス暦が使用されていた。しかし、ユリウス暦では春分の日の後に行なわれる重要な宗教的行事である復活祭(イースター)の時期にズレが生じた。その為、これを正確にすることを目的に1582年、時のローマ法王グレゴリオ13世によってグレゴリオ暦が制定された。グレゴリオ暦では、1年を365.425日として計算し、4年に1度、閏年を設定。それでも出てしまう誤差を100年に1度(100で割り切れる西暦の年)、閏年を省くことで調整している。さらに微妙に生じる誤差は400年に一度閏年を復活させることで調整する。極めてシンプルかつ規則的に誤差を修正することの出来る暦なのである。
機械式時計が発明されて以来、永久カレンダーは最も時計愛好家の興味を捉えた機構であった。現代の暦は1年を12か月に分け、1か月の日数を30、31、28、29日(4年毎の閏月)の4種類としている。このように複雑なサイクルを時計において再現するためには、細密な計算に基づいた機構が必要なのは容易に理解できよう。4年毎の閏月をも含めた変化を再現する永久カレンダー機構が初めて完成したのは、懐中時計においてであった。しかし腕時計の人気が増していくにしたがい、この非常に複雑な機構を懐中時計や置時計よりもずっと小さく、かつ過酷な使用条件にさらされる腕時計に内蔵することが課題となってきた。

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パテック フィリップの技術陣は、常に新しい、ますます複雑なタイムピースを休みなく開発・製作し続けてきた。その結果1925年、歴史上初の永久カレンダー付腕時計が、婦人用ペンダントウォッチをもとに製作された。この腕時計は時間以外にムーンフェイズ、日付、曜日、月を表示し、各月の日数の違いや閏年まで計算に入れており、パテック フィリップの技術力の高さを世に知らしめることとなった。その後、永久カレンダー付腕時計がシリーズ生産されるのは、1941年になってからである。
1985年、パテック フィリップはイースターの正確な日付を表示することの出来る機構を開発、特許を取得。更に同年、パテック フィリップ初の自動巻き永久カレンダー付きムーブメント、キャリバー240Qを搭載した腕時計Ref.3940を発表した。キャリバー240Qには4年に1度の閏年を処理するために、1年に90度回転する一方向だけが長い四辺形の4年車という歯車が組み込まれている。このムーブメントは極めて薄型の厚さ僅か3.88mmのキャリバーで、パテック フィリップの技術を余すところなく体現した最高のムーブメントといえよう。このムーブメントはRef.3940、Ref.5039、トノー型ケースのRef.5040、ブレスレットタイプのRef.5136/1、2006年発表のRef.5140などに搭載されている。
その他の現在生産されている永久カレンダーモデルは、フライバック日付表示機能を備えた、Ref.5059、スプリット秒針クロノグラフのRef.5004、30分計付クロノグラフの、Ref.5970である。また、以前のコラムでも紹介したスカイムーン・トゥールビヨン、Ref.5002を始め、Ref.5013、、Ref.5016、などのモデルも永久カレンダー機構を兼ね備えている。
文責 K. Ito
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